日系企業がベトナムでビジネスを行う際の、労務上の主な留意点を全6回の連載にて解説いたします。
【第5回】
ベトナムのVISA・労働許可について
◆現地で働くために必要なVISA、労働許可証
- 外国人がベトナムで働く場合、多くのケースは労働許可証の取得が必要となる。
- 労働許可証の期限は最大2年
- 労働許可証の申請には主に以下書類の全部または一部が必要とされている
- 労働許可証用健康診断結果(※1)
- 投資登録証明書・企業登録証明書、または駐在員事務所の設立許可書(※2)
- 顔写真
- 無犯罪証明書(※3)
- 任命書(社内異動の場合)
- 職務経歴証明書(※4)
- 卒業証明書(※4)
(※1)現地での健康診断受診が推奨される
(※2)ベトナムの公証がなされている必要がある
(※3)ベトナムでの外務省公印確認および翻訳公証が必要
(※4)専門家・技術者等であることを証明する為の書類
- 労働許可証の主な種類は以下の通り。
- 会社の登記場所により、労働許可証の発給機関は異なる。
◆労働許可証等の取得規制や期間
- 日本人の場合、入国日から起算し最長45日間はビザ無しでの滞在が認められる。しかし45日間を超えた滞在になる場合には、目的に応じた滞在ビザの取得が必要となる。
- ベトナムで就労する外国人は原則労働許可証を取得する必要があるが、労働許可証の取得が免除される場合もある。ただし、その場合には労働許可証の免除証明書を取得する義務を有する。
- 労働許可証の取得申請流れとしては、①ベトナム人雇用通知(実務上、約2週間程度)②外国人雇用承認の申請(実務上:約1ヶ月程度)、③労働許可証の発給申請(実務上:約10~15日間程度)となる。しかし日本で用意する任命書や職務経歴書等の関連書類は日本の公証役場での公証と駐日ベトナム大使館での領事認証が必要になるのでこの手続きを考慮すると取得完了までは更に余裕を見たスケジュール調整が必要になる。
◆一時滞在許可証(TRC)について
- 就労等で1年以上ベトナムに滞在する者は、一時滞在許可証(TRC:Temporary Residence Card)を申請することができる。TRCを取得することにより、ビザと同等の効力を有し、カード所持者はカードの有効期間内であれば別途ビザを取得することなく出入国が可能となる。なお期限は労働許可証において認められている期間と同期間となる。なお、TRCの申請は労働許可証の取得後に可能となり、入国ビザからの切り替えのみ可能。