日系企業が中国でビジネスを行う際の、労務上の主な留意点を全6回の連載にて解説いたします。
【第3回】
1.時間外手当
- 労働法上、1日の労働時間が8時間を超えてはならず、それを超えた場合には残業として、時間外手当(割り増し賃金)支給の対象となる。
- 残業時間は原則1日1時間までとされている。特別な事情がある場合には、1日3時間まで可能。ただし、1ヵ月当たり合計最大36時間まで。
- 残業が発生した場合、割増賃金の一般的な計算方法は以下。
(※不定時労働時間制や総合計算労働時間制を採用する場合は、別途特別なルールあり)
2.退職金
労働契約法(中国)により、下記のいずれかに該当する場合には、労働者に対して経済補償金(いわゆる、法定退職金)を支給しなければならない:
- 同法第38条の規定により、使用者側の問題が原因で労働者が労働契約を即時解除する場合(例:使用者の労働報酬や社会保険の未払い、提供すべき労働保護の未提供によって)
- 使用者が労働契約の解除を提起し、労働者との合意により解除をした場合
- 同法第40条の規定により、予告通知実施後、労働契約を解除する場合(例:労働者の業務不適任により研修の実施または職場調整を行ったにもかかわらず依然改善が認められない場合)
- 同法第41条第1項の規定により人員削減(リストラ実施)をする場合
- 労働契約の期間が満了した場合(ただし、使用者が現状の労働契約の継続、もしくは条件を引き上げての労働契約の更新を望んだにもかかわらず、労働者が当該継続もしくは更新に同意しない場合を除く)
- 使用者が法的な破産宣告を受けた場合
- 使用者が営業許可証を取り上げられた、もしくは閉鎖や登記抹消を命じられた場合、または経営期間満了前に解散を決定した場合
(※1) 月額賃金は、労働契約解除または終了前12カ月間の平均賃金で、基本給・諸手当・補助金等の収入を含む総額
(※2) 勤務年数満1年ごとに「1カ月」とする。ただし6カ月以上1年未満の場合は「1カ月分」、6カ月に満たない場合は「0.5カ月分」とする。