日系企業が中国でビジネスを行う際の、労務上の主な留意点を全6回の連載にて解説いたします。
【第2回】
1.雇用契約
- 一般的な労働契約の種類:
①固定期間労働契約
②無固定期間労働契約
③一定の業務上の任務の完了を期限とする労働契約 - 固定期間労働契約とは、使用者が労働者と契約終了日を約定する労働契約を指す。
- 無固定期間労働契約とは、使用者と労働者が約定する確定的な終了日のない労働契約を指す。
▷以下に掲げる事由のいずれかに該当し、かつ労働者が労働契約の更新・締結を申し出た場合、もしくは労働契約の更新・締結に同意した場合は、労働者が固定期間労働契約の締結または更新を申し出た場合を除き、無固定期間労働契約を締結しなければならない
(a) 労働者が当該使用者のもとにおいて、勤続満 10 年以上である場合 |
(b) 連続して固定期間労働契約を2回締結し、かつ労働者が労働契約法第 39条(使用者による一方的な労働契約の解除事由)及び第 40 条(使用者による労働契約の予告解除事由)1 号、2 号に定める事由に該当せずに、労働契約を更新する場合。 |
▷使用者は、無固定期間労働契約を締結すべき日から、当該契約を補充的に締結する日の前日までに、労働者に対して毎月 2 倍の賃金を支払わなければならない。
- 一定の業務上の任務の完了を期限とする労働契約とは、使用者が労働者との間である業務の完了をもって契約期間として約定する労働契約を指す。
- 使用者は雇用開始日から1ヵ月以内に労働者と書面による労働契約を締結しなければならず、雇用開始日から1ヵ月を超え1年未満の間に書面による労働契約を締結していない場合、雇用開始日から1ヵ月が経過した日の翌日から1年が経過した日の前日までの間、労働者に対し毎月2倍の賃金を支払わなければならない。また、労働者の雇用開始日から1年が経過しても書面による労働契約を締結していない場合、使用者は労働者との間で無固定期間労働契約を締結したものとみなされる。
2.試用期間
- 同一の使用者は、同一の労働者との間で1回のみ試用期間を約定することができる。
- 労働契約において試用期間しか約定していない場合、試用期間の約定は成立せず、当該期間は直ちに労働契約の期間とみなされる。
- 試用期間は以下の通り:
労働契約の期間が3ヵ月以上-1年未満の場合:試用期間は1ヵ月以内。 |
労働契約の期間が1年以上-3年未満の場合:試用期間は2ヵ月以内。 |
3年以上の固定期間労働契約及び無固定期間労働契約の場合:試用期間は6 ヵ月以内。 |
- 試用期間を約定してはならない場合は以下の通り:
業務上の一定の任務の完了をもって契約期間とする労働契約 |
3 ヵ月未満の労働契約 |
非全日制雇用の労働契約(通常、労働者の同一の使用者のもとにおける1日当たりの平均労働時間が 4 時間を超えず、1 週間の労働時間が累計で 24 時間を超えない時給制の労働契約を指す) |
- 労働契約の期間が1年以上-3年未満の場合:試用期間は2ヵ月以内。
- 3年以上の固定期間労働契約及び無固定期間労働契約の場合:試用期間は6 ヵ月以内。