コラム

シンガポールからの撤退実務

日系企業がシンガポールより撤退する際の、主な留意点について解説します。

シンガポールにおける法人の清算手続きは、一般的に次の2つの手法があります:

任意清算 (Members’ Voluntary Liquidation):

  株主または債権者によって自発的に行われる清算手続き

登記抹消 (Striking Off):

  会社が営業を開始していないまたは休眠状態にある場合に、簡易手続きで閉鎖する方法

1.任意清算

任意清算とは、会社が債務超過ではなく、全ての債務を支払う能力がある場合に、株主の意思により会社を清算する方法です。任意清算を行うには、会社が債務の弁済能力を有していることが前提となるため、親会社や関係会社からの負債がある場合には、必要に応じて債権放棄やデットエクイティスワップなどを活用して債務超過を解消しておく必要があります。また、第三者に対する負債がある場合には、それらの弁済が必要なことは言うまでもありません。

1-1任意清算の流れ

任意清算の流れは次のとおりです:

1-2ポイント

支払能力宣誓書は公的な宣誓書として、12か月以内に全ての債務を清算することが求められ、違反した場合には取締役に対して罰則が科せられます。しかし、債権者が必ず連絡がとれる状態であるとは限らないため、その場合は次の手順によります:

2.登記抹消

登記抹消(Striking Off)は、簡易な清算方法であり、設立以来事業を開始していない、もしくは休眠状態にある会社が対象となります。この方法では、会社に資産や負債がなく、未払いの法人税や政府機関との未解決の手続き、訴訟等が存在しないことが条件となります。

2-1登記抹消の流れ

登記抹消の主な流れは次のとおりです:

2-2ポイント

シンガポール法人の登記抹消を行うには会社に債務がないことが前提のため、設立時に設置が義務付けられているローカルディレクター(居住取締役)への継続的な報酬が未払の場合は、債務にあたるため、まずはこの契約・支払いを完全に清算する必要があります。最終的な登記抹消の申請手続きは当該ローカルディレクターが行うケースが多いため、報酬を巡って関係がこじれると、申請への協力を拒否されプロセス全体がストップしてしまうリスクが生じます。したがって、スムーズかつ円満に清算するためには、ローカルディレクターと締結している契約等に係る未払金があるものは早期に支払うことが、が強く推奨されます。

3.任意清算と登記抹消の比較

上記内容に加え、それぞれの清算方法のメリットデメリット、また清算が完了するまでに要する期間は次のとおりです: