コラム

担当者が知っておくべき!労務ポイント①【シンガポール】労働法の適用範囲と労働時間について

~日系企業がシンガポールでビジネスを行う際に、労務上の主な留意点を全6回の連載にて解説いたします~

【第1回】

《労働法の適用範囲》

シンガポールの労働法(「Employment Act 1968」)のPart 4に記載ある労働時間等の適用範囲は管理職者(※1)を除いた以下に限定されている:

  • 月基本給がS$4,500以下のWorkman(※2)
  • 月基本給がS$2,600以下の労働者

※1:管理職の定義:企業の戦略・方針又は管理・運営に係る決定者を指す。弁護士や公認会計士など専門職も該当する。

※2:Workmanの定義:運転手・清掃員などの肉体労働者及びその監督者を含む労働者を指す。

《労働時間・時間外労働・休日労働・深夜労働》

 ◆労働時間について

原則一日の労働時間は8時間かつ週44時間以内とし、6時間以上継続して業務に従事する場合には必ず45分以上の休憩時間を設ける必要がある。しかし雇用契約上での同意に限り、次を含む特定の変形時間労働制を適用することが可能である:

  • 使用者と労働者が個別に合意の上、1週につき1日以上の労働時間が8時間未満の場合、1日9時間以内かつ週44時間以内で、その週のそれ以外の日は8時間を超えた勤務が可能
  • 使用者と労働者が個別に合意の上、週の労働日数が5日以内である場合、1日9時間以内かつ週44時間以内の範囲で、1日8時間を超えた勤務が可能

 ◆時間外労働・休日労働・深夜労働

原則時間外労働・休日労働は禁止とされているが、事故・緊急・安全保障等を理由とした一定の事由に限り、時間外労働は最大月72時間を上限に可能である。深夜労働に関して制限は特にない。